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2022年10月26日 コラム

塗膜分析方法(1)~(4)

塗膜の分析方法(1)  PCB含有量試験
  
試験方法:低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)

塗膜のPCB含有量試験は令和2年10月に示された上記の測定方法により実施します。140ページにもわたる文章ですので、押さえておきたい点をピックアップしておきます。


1.令和元年10月11日に「ポリ塩化ビフェニル汚染物等の該当性判断基準について(通知)」が発出された。 
2.PCB汚染物の該当性判断基準は0.5mg/kgである。
3.塗膜くずの低濃度PCB汚染物の該当性判断に適用可能な分析方法はGC/HRMS法、GC/MS/MS法、GC/QM法のみである。
4.1度の試験で必要とされる試料量は2~5g程度である。
5.試験で求められたPCB含有量が0.5mg/kg超であること。(及び100,000mg/kg 以下であること)
なお、定量下限値は0.5mg/kg以下とする。

以上が、押さえておきたい5点になります。特に、採取した塗膜くずを分析会社に依頼する際には、特に3.で述べた分析方法を採用し、かつ定量下限値が0.5mg/kg以下となっているか確認しましょう。


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塗膜の分析方法(2)  鉛含有量試験

試験方法:JIS K 5674 鉛・クロムさび止めペイント附属書A 塗膜中の鉛の定量

塗膜の鉛含有量試験は上記の測定方法によって実施します。内容は下記URLを参照してください。
http://www.kikakurui.com/k5/K5674-2019-01.html

こちらは2019年版ですが、JIS規格は必要に応じて改正がされますので定期的にチェックしておきましょう。
PCB含有量試験と同様、押さえておきたい点をピックアップします。

1.分析装置はフレーム原子吸光分析装置(JIS K 0121に規定するもの)、鉛中空陰極ランプ。
2.1度の試験で必要とされる試料量は5g程度である。

以上が、押さえておきたい2点になります。特に、採取した塗膜くずを分析会社に依頼する際には、特に1.で述べた分析装置を使用しているか確認しましょう。

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塗膜の分析方法(3)  クロム含有量試験

試験方法:JIS K 5674 鉛・クロムさび止めペイント附属書B 塗膜中のクロムの定量

塗膜のクロム含有量試験は上記の測定方法によって実施します。内容は下記URLを参照してください。
http://www.kikakurui.com/k5/K5674-2019-01.html

こちらは2019年版ですが、JIS規格は必要に応じて改正がされますので定期的にチェックしておきましょう。
PCB含有量試験と同様、押さえておきたい点をピックアップします。

1.分析装置はフレーム原子吸光分析装置(JIS K 0121に規定するもの)、クロム中空陰極ランプ。
2.1度の試験で必要とされる試料量は5g程度である。

以上が、押さえておきたい2点になります。特に、採取した塗膜くずを分析会社に依頼する際には、特に1.で述べた分析装置を使用しているか確認しましょう。


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塗膜の分析方法(4)  溶出試験(PCB・鉛・六価クロム)

試験方法:産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法(環告13号)

塗膜調査で取り扱う3つの分析項目の溶出試験は上記の測定方法で実施します。内容は下記URLを参照してください。
https://www.env.go.jp/hourei/11/000178.html

こちらも適宜改定されていますので、定期的に内容をチェックしておきましょう。

3つの分析項目において共通して押さえておきたい点が1つあります。それは1度の試験で必要とされる試料量です。
溶出試験では試料と水を混合させた試料液を必要としますが、作製にあたっては混合液が500mL以上かつ試料と水とを重量体積比10%の割合で混合するものとしています。
従って、試験に供する塗膜くずは最低50g以上が必要とされます。

更に、鉛の検定方法について押さえておきたい点があります。
環告13号で示された方法は、JIS K 0102  55に定める方法とあります。定量方法の違いから、55の後ろにいくつかの枝番があり、例外はあるものの枝番で示された分析方法はいずれも塗膜くずの分析に適用できます。しかし、極まれに枝番を含めた形で分析方法を指定する仕様書も見受けられます。この場合、受注者側は分析会社の選定に制限が発生しますので、枝番指定の仕様書があった場合は発注者と協議することをお薦めします。




低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)

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