関係法令と今後の動向
30年以上行き場を失っていたPCBの処理について、2001年より法律が制定され、国が中心となり高濃度PCB廃棄物の処理を実施して来ました。さらに、2019年に行われた改正により、高濃度PCB廃棄物の可燃性の一部が低濃度廃棄物に区分される事により処理費用の緩和や委託できる対象が拡大されました。また、PCB特措法関連業務がインフラ維持管理関連業務にプラスされて増えていくため、これまで以上に周辺環境を配慮しつつ、適正な作業ができる塗膜採取業者様の不足が懸念されています。
PCB特措法
PCB Special Measures Law
PCB特措法について
PCB(ポリ塩化ビニル)は、日本では昭和29年頃から製造され、絶縁性・不燃性などの特性により電気機器の絶縁油など、幅広い用途に使用されていました。しかし、1968年に発生した事件により、人体への毒性が社会問題化したことで、1972年以降は製造が行われなくなりました。その後もPCBの適正な処理体制が整備されずに、使用済みとなったPCB含有機器等(PCB廃棄物)は行き場を失い、これまで30年間の長期にわたり、各事業所において厳重に保管され続けてきました。このような状況の中、平成13年7月15日から、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特別措置法)が施行されました。
鉛中毒予防規則
Ordinance on Prevention of Lead Poisoning
鉛中毒予防規則(鉛則)
本規則は労働安全衛生法及び労働安全衛生法施行令の規定に基づき、並びに同法を実施するために定められたものです。
塗膜調査の結果、低濃度PCB含有塗膜と判定された場合は処分のために剥離作業が必要となります。従って、処分時の剥離作業における作業員の有害物質暴露防止対策の必要性を本規則で定める基準によって判断します。ただし、下塗り塗料には高濃度の鉛が含有していることが良く知られているため、塗膜調査時の剥離作業時にも本規則が定める暴露防止対策を施すことが通例です。
特定化学物質障害予防規則
Ordinance on Prevention of Hazards from Specified Chemical Substances
特定化学物質障害予防規則(特化則)
本規則は労働安全衛生法及び労働安全衛生法施行令の規定に基づき、並びに 同法を実施するために定められたものです。
塗料中には防錆用途としてのクロムが含有していることが知られており、鉛則と同様の考え方で作業員の有害物質暴露防止対策の有無を判断します。
廃棄物処理法
Waste disposal law
廃棄物処理法とは
廃棄物処理法は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」のことで、昭和45年12月25日に公布され、翌年9月24日から施行されました。その後、様々な改正が施され、最新版は令和4年6月17日に施行されています。
本法の塗膜調査における位置づけは、廃棄処分する塗膜くずが「特別産業廃棄物」となるかどうかを判断する材料とするものです。
塗膜くずが特別管理産業廃棄物となればその収集運搬や処分に費用がかさむため、処分計画の策定に必要な基礎資料となります。
ただし、塗膜調査で対象となる分析項目(PCB・鉛・六価クロム)だけでは処分場は塗膜くずを受け入れてくれません。受入処分場が求める分析項目の分析結果を提示しなければなりません。